摂食嚥下障害の訓練法

Q19. 嚥下体操を教えてください。

A19.

嚥下体操(嚥下準備体操)

誤嚥は食べ始めのひと口目に起こりやすいので、食べる前に準備運動を行うと効果があります。顔や首の筋肉の緊張を解いたり、鍛えたりするのが目的です。 片麻痺の方の場合は、動かすことのできる片側だけでも効果があります。
※首に障害がある方は、首・肩の運動は医師の指導に従ってください。

【体操手順】

  1. ゆっくりと深呼吸をします。
    まず、口から息をゆっくりと吐き出してから鼻から吸い込みます。手をお腹にあてておき、吐くときはお腹がへこみ、吸うときはお腹が膨らむようにします(腹式呼吸)。また、吐くときは口を少しすぼめてローソクを吹き消すようにするとよいと思います。 ゆっくりと深呼吸を数回ほど繰り返したら、次に移ります。


  2. 普通に呼吸しながら、首をゆっくりと回します。
    右へ1回、左へ1回まわしたら、
    左右に1回ずつ、ゆっくりと首を曲げます。

  3. 肩の運動です。
    ぎゅっと肩をすくめるように上げ、力をすっと抜いて肩を下へおろします。2~3回繰り返したら、肩を中心に両手をゆっくりまわします。

  4. 上体を左右にゆっくり倒します。


  5. 頬をふくらませたり、ひっこめたりします。(2~3回)


  6. 大きく口を開いて、舌を出したり、ひっこめたりし、
    左右にも動かします。(各2~3回ずつ)


    また、上下の歯を奥歯から順になめます。

  7. 「パパパ、ラララ、カカカ」または「パラカ」とゆっくりと発声します。
    はじめはゆっくりと5〜6 回繰り返し、次に早く 5〜6 回繰り返します。
    (発音する時の舌や唇の動きが、嚥下の動きと共通する部分が多いのです)


  8. 口をすぼめて息を強く吸い、冷たい息が喉にあたるようにして喉の感覚をリフレッシュします。


  9. 額に手を当てて抵抗を加え、おへそを覗き込むように強く下を向くようにします。
    次の2つの方法で行ってください。
    ●ゆっくり5つ数えながら持続(6~7秒)して行ってください。
    ●1から5まで数を唱えながら、それに合わせて下を向くように力を入れてください。
    食事の直前に行うと効果的でしょう。


  10. ゆっくりと深呼吸します
    はじめに行った深呼吸を行って終わりです。
    ゴクンと唾液を飲んで、のどの動きを確かめてから、さあ食べましょう。

これらの運動は毎食前に忘れずに行うことをおすすめします。
これを参考に自分に合った方法を工夫して行ってみてください。

Q20. 咳と呼吸の訓練には、どのような方法がありますか?

A20.

咳・呼吸の代表的な訓練方法には、咳嗽(がいそう)訓練、口すぼめ呼吸とペットボトルブローイングなどがあります。

咳嗽(がいそう)訓練

咳嗽訓練はむせに対処する防御機構を強化する訓練です。嚥下障害を持つ人に、まず自発的な咳を行うことを習慣化させます。その人の腹部に手を置いて息を吸ってもらいます。腹部が膨らんだのを確認してから「えへん」としっかり声を上げながら息を吐くことを指示します。その呼気に合わせて腹部を押し、咳の誘導をはかります。




口すぼめ呼吸とペットボトルブローイング(呼吸訓練)

口すぼめ呼吸(鼻から吸って口から吐く)を行い、呼吸のコントロールを改善させ、痰や誤嚥物の喀出を促すことが目的です。ロウソクの炎を消すような気持ちで口をすぼめて息を吐き出させます。肺機能、鼻咽腔の閉鎖機能の強化に役立つとともに口唇の訓練にもなります。
また、ペットボトルブローイングも効果があります。図のようにペットボトルにストローをさし水を入れてぶくぶくと息を吐きます。この時ペットボトルのふたの閉め方を調節することでブクブク泡を出す呼気の力を調整できます。誤って水を吸い込まないように注意してください。

口すぼめ呼吸訓練

ペットボトルブローインク

Q21. のどのアイスマッサージとは?

A21.

凍らした綿棒で口蓋弓(こうがいきゅう)や舌根部(ぜっこんぶ)を押したり軽くなでたりして、嚥下反射を誘発させることを目的としたものです。

【準備するもの】

アイスマッサージ棒(割り箸にカット綿を巻いたもの、市販の綿棒も利用できます)

【アイスマッサージ棒の作り方】

  1. カット綿(7×7cmくらいのもの)を割り箸(半分程度に切ったもの)に巻きつける。
  2. 水を含ませ、軽くしぼって凍らせる(一度にまとめて作っておくと良いでしょう)

[方法]

凍った綿棒に少量の水をつけて、軟口蓋や舌根部を軽く2、3回刺激した後、すぐに空嚥下をさせる。嚥下反射は、綿棒による機械的(物理的)刺激、水の化学的刺激、氷による温度刺激の相乗作用で誘発されやすくなります。摂食訓練の前や、食間に空嚥下の練習をするときに併用します。空嚥下と併用すると効果的です。

アイスマッサージ

Q22. ケアに携わる医療スタッフとは?

A22.

摂食嚥下のケアは、医師(リハビリテーション科、神経内科、循環器科、呼吸器科、耳鼻咽喉科など)をはじめとする多くの医療スタッフが以下のような役割を持ちながら連携して行います。

  • 医師
    全身管理、リスク管理、検査、訓練指示、ゴール・治療方針の最終決定、病状・治療方針の説明と同意
    医師


  • 言語聴覚士
    口腔機能、基礎訓練、摂食訓練、構音訓練、高次脳機能評価と治療

  • 理学療法士
    頸部体幹訓練、体力アップ、一般運動療法、呼吸理学療法

  • 作業療法士
    失認・先行評価と治療、姿勢、上肢の訓練と使い方、食器の工夫、自助具
    作業療法士


  • 看護師
    バイタルサイン、薬の投与、点滴、経管栄養、気切(気管切開)カニューレ、口腔ケア、摂食介助、摂食嚥下訓練、精神的サポート、家族指導
    看護師


  • 看護助手
    口腔ケア、摂食介助

  • 栄養士・管理栄養士
    嚥下食供給、カロリー・水分など栄養管理、嚥下食の作り方指導・紹介
    栄養士・管理栄養士


  • 薬剤師
    調剤(院外処方)、嚥下しやすい薬剤の調製、簡易懸濁法・薬効の説明

  • 歯科医師
    う歯、歯周病などの口腔の疾患、口腔内補助装置、義歯の調整など
    歯科医師


  • 歯科衛生士
    口腔ケア、口腔衛生管理

  • 放射線技師
    嚥下造影

  • ソーシャルワーカー
    環境調整、関係調整、社会資源紹介

ページのトップへ戻る